HONOR

泣いちゃったな~…シンプルでよかった。史実モノと比べて前提知識として説明したいものの取捨選択がしやすいからか、冗長さが削ぎ落とされていたのがよかった。あと音楽が超イイ。地味な展開で何度も見たくなる衝撃があるわけではないし、物語の比重という意味ではなく、演技による重さ深さの根本的な部分で安田さんが担っている部分が大きすぎる感が否めないんだけど、それでも見終わったあと、ああ観てよかったなぁ、と素直に感じ入ることができた。それってすごく本質的で、純粋で、大事なことだと思うんだよなあ。

COMPOSERからHONORの安田さんは、何かが変わったと明確に肌で感じることができる。私は安田さんの演技面を全面支持していることが理由でファンなわけではない(これは演劇集団としてのナそのものにも言える)んだけど、これを見ると私の彼に対する感情の中でも、あまりウェイトが大きくなかった部分が揺れに揺れまくるのだ。安田さんが振り切って作り込んで、もはや別の世界線で生きているようなキャラクター性から、物語の世界観の中で生きている突出したキャラクターというバランス感になったような気がして、独自性がありながらも物語へ没入できるような不思議な溶け込み方に切なくなってしまう。

元々光をよく反射する潤んだ瞳に、じわっ、とか、ぶわっ、という効果音が聞えてくるみたいに一瞬で涙が溜まったあと、ぽろぽろと粒がこぼれて落ちる安田さんの泣き方、演技のときもそうでないときもいつもそれだけで心臓を素手でつかんでくるような力があってすごく好きだ。稽古の様子も含めて、見るたびにとにかくよかった。涙は表現云々の前に身体の構造というか、どういう風に滲んで、どういう風に流れるのか、持って生まれたものの要素が強いと思うから、すごくキレイでいつ見ても感激してしまう。ダントツでいちばんすきなのは山田家ドラマ版の明日美との電車のシーン。カット切り替わる一瞬でぶわわっと涙がたまるとこ本当に最高にカワイイ。山田家は何をとっても本当に至高だ…今度またかこ

特典:稽古時期の安田さんもインタビュー期の安田さんも超絶髪型顔面かわいい期で最高。舞台の奇抜なビジュアルからドラマ用の小奇麗なビジュを挟むと、ああそうだこんなに顔がよかった、とバランスが取れてとてもよい。どんだけ一粒で何度もおいしい人なんだ。