LOOSER

若くて未熟で荒くて力みすぎだけど、やぁやぁと東京へ乗り込んできたごあいさつの圧ととにかく武器を全部出そうとする攻撃的なプレーの応酬は嫌いじゃないんだよな~。ただただ華やかな個々を活かすことはテレビ的、バラエティ的でもあり、そこまでの彼らの歩みがあってこそなんだと思うと、改めて稀有で新鮮な存在で、得がたいものを抱えた集団だなと思う。タレント力だけで舞台が成り立ってしまう基盤があるのって、それはそれで唯一無二の魅力なんだよね。

安田さんの鴨がとても好きだった。幕末モノではじめて鴨がいちばん好きだと思ったかもしれない。襖が開いた最初の登場の舞と、彼の人となりと先の運命がわかったあとの舞は、印象も感情もまったく違うものに変わる。最期のときが近づくにつれ強い眼光も刹那感が滲んだように見えて、安田さんの水分量の多い瞳のえげつない力を感じた。これはその後に登場する古高のあどけなさと、愚直すぎるがゆえの最期の切なさにもよく表われていた。黒い安田さんのビジュアルは全然好きじゃないのに、やはりとにかく造形がたまらん。

おーいずみさんは役回りとしても抜群に合ってるんだけど、器用な立ち回りを本当に器用にこなして自分が何とかバランス保って整えようみたいな、器用貧乏丸出しの姿が愛おしすぎた。私は器用で報われない男が大好きだ。まぁとにかく何を差し置いても、鴨も古高もおいずみさんに斬られること、これに尽きる…。

特典:ゴの死に際の話はここから何年経ってもとにかくいつも必ずお互いの最期を見る気でいるのが、何億人の女が思ったことかしらんけど本当に最高。小突き合いの最上位として「お前より先に死なない」がすでに確立していることがあまりにも強すぎる。